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2026-08-26

社会保険の適用拡大、あなたの会社に来るのは何年ですか|2026年10月に106万円の壁が撤廃されます

2026年10月1日から、社会保険(厚生年金・健康保険)に入る条件が変わります。いわゆる「106万円の壁」が撤廃され、基準が週20時間に一本化されます。

この話でいちばん多い反応が「うちは51人未満だから関係ない」です。関係ないのは、いまだけです。2027年から2035年にかけて、規模の小さい会社から順に対象が広がることが、すでに法律で決まっています。この記事では、自社に来る年が分かるように整理します。

10月に変わるのは「賃金要件」です

短時間で働く人が社会保険に入る条件は、これまで次の5つでした。

このうち2つ目の賃金要件が、2026年10月1日に撤廃されます。残りの4つはそのままです。

つまり「106万円の壁」が「週20時間の壁」に置き換わります。年収がいくらであっても、週20時間以上働いていれば対象になります。月8万円でも、月6万円でも同じです。

「うちは51人未満」——あなたの会社の年はここです

企業規模要件も、段階的になくなります。2025年6月に成立した年金制度改正法で、2027年10月から2035年10月にかけて順に引き下げられることが決まっています。

時期対象になる従業員数内容
2026年10月51人以上賃金要件(月8.8万円)が撤廃。週20時間以上なら年収に関係なく対象
2027年10月36〜50人企業規模要件の撤廃が始まる
2029年10月21〜35人常時5人以上の個人事業所で、これまで対象外だった業種(飲食業・理美容業・農林水産業など)も加わる
2032年10月11〜20人
2035年10月10人未満規模要件が完全になくなる

最終的には、規模に関係なく週20時間以上の人が全員対象になります。いま10人の会社でも、2035年10月には同じ扱いです。

ここで大事なのは、自社の番が来る年がもう分かっていることです。急に決まる話ではありません。従業員30人の会社なら2029年10月、15人の会社なら2032年10月です。準備に使える時間が何年あるかが、いま計算できます。

いくら増えるのか

社会保険料は労使折半ですが、事業主側にはこれに加えて子ども・子育て拠出金があります。事業主の負担はおおむね報酬の15%前後とみておくと、見積もりを誤りません。

厚生年金保険料率は全国一律ですが、健康保険料率は都道府県や健康保険組合によって違います。正確な額は加入している健保の料率表で確認してください。以下は目安です。

月の賃金いまは10月から事業主負担/月年間
月8万円(年96万円)対象外だった対象約1.2万円約14万円
月9万円(年108万円)対象対象約1.35万円約16万円
月6万円(年72万円)対象外だった対象約0.9万円約11万円

これまで対象外だった月8万円のパートの方1人につき、年間およそ14万円の負担増です。10人いれば140万円になります。

そして忘れてはいけないのが、同じ10月1日に最低賃金も上がることです。時給が上がれば月額賃金も上がり、社会保険料の算定基礎も上がります。2つの負担増が同じ日に重なります。

「週20時間」はどう数えるのか

基準が週20時間に一本化されるので、この数え方が今までより重くなります。

原則は雇用契約で決めた所定労働時間で判定します。実際に働いた時間ではありません。ですから、繁忙期にたまたま超えた週があっても、それだけで対象にはなりません。

ただし逆のパターンには注意が要ります。契約書上は週18時間なのに、実態として毎週22時間働いている——この状態が続いている場合、実態にもとづいて判断されることがあります。「契約書がそうなっているから対象外」とは言い切れません。

実務としては、次の2つを分けて持っておくのが安全です。

この2つが離れている人がいたら、契約を実態に合わせるか、シフトを契約に合わせるかを決めてください。離れたまま10月を迎えるのが、いちばん判断に困る状態です。

なお、所定労働時間が週単位で決まっていない場合(月〇時間などの契約)は、月の所定労働時間を12分の52で割って週あたりに換算します。

手取りが減る人に、どう伝えるか

制度の話より、こちらのほうが現場では難しいと思います。これまで保険料を引かれていなかった人の手取りが、10月から減ります。

ここで「制度が変わったので」とだけ伝えると、不満が会社に向きます。伝えるときは、次の3つをセットにしてください。

3つ目を用意していないと、10月の給与明細を見てから相談が来ます。そのタイミングでは、すでに資格取得の手続きが済んでいます。

逆に、「入ったほうが得な人」もいます。自分で国民年金・国民健康保険を払っている人が勤め先の社会保険に入ると、保険料の半分を会社が負担するぶん、負担が軽くなることがあります。一律に「減ります」と伝えないほうが、話がこじれません。

「130万円の壁」とは別の話です

混同されやすいので整理しておきます。

106万円の壁が撤廃されても、130万円の壁は残ります。「壁がなくなった」という話だけが伝わると、従業員の方が誤解します。説明するときは分けてください。

なお、勤め先の社会保険に入った場合は、扶養から外れても自分で国民年金に入るより負担が軽くなることが多いです(保険料の半分を会社が払うため)。将来の年金額も増えます。「入ると損」と決めつけないほうがいい場面もあります。

10月までにやること

  1. 週20時間以上働いてしている人を洗い出す
    所定労働時間で判定します。契約書上は週18時間でも、実態が恒常的に20時間を超えているなら見直しが要ります
  2. 該当者ごとに、増える保険料を計算する
    上の表の目安でおおよその額が出ます。最低賃金の改定ぶんも同時に見てください
  3. 本人に説明する
    手取りが減る人が出ます。10月になってから伝えるのでは遅く、シフトの相談も含めて9月中に話しておくほうが摩擦が小さくて済みます
  4. 51人未満なら、自社の年を確認して逆算する
    2027年・2029年・2032年・2035年のどこか。何年あるかが分かれば、賃金体系の見直しを分割して進められます

1つ目でつまずく会社が多いはずです。シフトが紙やLINEでやりとりされていると、誰が週何時間なのかを集計するところから始まります。ここは毎年見る数字になるので、集計できる形にしておくと後が楽になります。

手続きそのものは、対象者が出たら資格取得届を年金事務所(または健保組合)へ提出します。10月1日から対象になる人は、その日を資格取得日として届け出ることになります。対象者が多い会社ほど、9月中に名簿を確定させておかないと事務が集中します。

よくある誤解

まとめ

※本記事は2026年8月26日時点の公表情報にもとづく一般的な解説であり、社会保険手続の助言ではありません。保険料率は加入する健康保険により異なります。個別の判断は年金事務所または社会保険労務士にご確認ください。

誰が週何時間か、すぐ出せますか。

シフトの集計から、週の所定労働時間の判定、対象者の抽出までを仕組みにします。最低賃金の改定と重なる10月に向けて、影響額を先に出しておくための土台を作ります。

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