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2026-07-31

カスハラ対策の義務化、中小企業は何をすればいい?|2026年10月1日施行・必要な5つの措置と「記録」の残し方

2026年10月1日から、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策がすべての事業主の義務になります。改正労働施策総合推進法にもとづくもので、労働者を1人でも雇っていれば対象、中小企業の猶予期間はありません。「大企業が先で、中小は数年後」という段階施行ではなく、全事業主が同じ日から対象になる点が、これまでのハラスメント法制と大きく違います。この記事では、何を求められるのか、実務では何から手を付けるべきかを、中小企業の目線で整理します。

そもそも「カスハラ」とは何を指すのか

厚生労働省の指針(令和8年厚生労働省告示第51号)では、顧客・取引先などからの言動のうち、①社会通念上相当な範囲を超えたもので、②それにより労働者の就業環境が害されるもの、が対策の対象とされています。ポイントは、クレームすべてがカスハラではないことです。商品やサービスへの正当な指摘・要望は含まれません。対象になるのは、暴言・威圧・土下座の要求・長時間の拘束・執拗な繰り返し・SNSでの晒しといった、手段や態様が相当性を欠く行為です。

この線引きを社内で共有すること自体が、対策の第一歩になります。「お客様は神様」で我慢させる時代は、法律のうえで終わりました。

事業主に求められる措置:大きく5つ

指針で求められる措置を実務目線でまとめると、次の5つです。

罰則(刑事罰)は直接ありませんが、措置を講じていない場合は行政の助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名公表の対象になり得ます。加えて実務上は、対応を怠って従業員が心身を害した場合の安全配慮義務違反(民事)のリスクの方が重いと考えるべきです。

実務の核心は「記録」です

5つの措置を眺めると、方針・窓口・配慮・再発防止と項目が並びますが、実務の核心はひとつに集約されます。「やっていることを、後から証明できるか」です。

方針を作っても、周知した記録がなければ「周知していない」と評価されかねません。相談に丁寧に対応しても、記録がなければ行政調査や紛争の場面で説明できません。逆に言えば、記録の仕組みさえ最初に作ってしまえば、日々の運用は「起きたら書く」だけになります。

対応記録に残すべき6項目

難しい様式は不要です。1件につき、次の6項目が残る形にしてください。

紙のノートでも成立しますが、紙は「書いたのに見つからない」「集計できない」で破綻しがちです。スプレッドシート等で入力したら日付付きで残る形にしておくと、発生から責任者確認までの流れがそのまま証跡になります。

10月1日までの準備手順(最短コース)

作業量は実はそれほど多くありません。最短ならこの4ステップです。

マニュアルの整備や研修は、この土台の上に載せていくものです。まず「方針・窓口・記録」の3点を10月1日までに揃えることを優先してください。

東京都の事業者は:条例と奨励金も知っておく

東京都には、国の義務化に先行してカスタマー・ハラスメント防止条例があります。また、都内の中小企業(常時雇用300人以下)向けに、マニュアルの作成や実践的な取組を行った事業者を対象とする奨励金制度(カスタマーハラスメント防止対策推進事業・企業向け奨励金、定額40万円)が実施されています。令和8年度は事前エントリー制(超過時は抽選)で、第1回の受付は終了、次回の日程は公式の特設サイトで発表されます。

要件や提出書類は年度・回次で変わるため、検討する場合は必ず公式の募集要項(東京しごと財団)を確認してください。なお、この制度でもマニュアルの周知日が分かる証跡(掲示写真やメールのスクリーンショット)の提出が求められており、「日付付きで記録を残す」仕組みの価値は、義務化対応と奨励金申請の両方で共通しています。

よくある誤解

まとめ

2026年10月1日から、カスハラ対策は全事業主の義務になります。求められるのは、方針の明確化と周知、相談体制、適切な対応と記録、被害者への配慮、再発防止の5つ。そして実務の核心は「後から証明できる記録」です。方針・窓口・記録の3点セットなら、小さな会社でも数時間で土台が作れます。秋は最低賃金の改定やインボイスの控除率変更も重なる時期(10月1日に変わる3つの制度のまとめ)なので、夏のうちに着手しておくことをおすすめします。

※本記事は2026年7月31日時点の公表情報にもとづく一般的な解説であり、法的助言ではありません。制度の詳細は厚生労働省・東京都の一次情報をご確認ください。個別の判断が必要な場合は専門家にご相談ください。

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