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2026-08-30

工事代金の入金遅れを見逃さない管理方法|Excelで未入金が自動で赤くなる仕組み

「今月は工事がどれも黒字だったのに、通帳を見たら残高が心細い」——建設業の資金繰り相談で、いちばんよく出てくる話です。原因を探っていくと、赤字工事ではなく入金の遅れに気づくのが遅いことに行き着くケースが目立ちます。請求書は出した。でも、予定日に入金があったかどうかを確かめるのは月末の記帳のとき。そこで初めて「先月分が入っていない」と分かる。この時点で、遅れの発見まで最大1か月かかっています。この記事では、工事代金の入金遅れを発生から数日以内に自動で見つけるためのExcelの作り方を、実際に使っている数式ごと公開します。

なぜ入金遅れは見逃されるのか——原因は「怠慢」ではなく構造

入金の確認を忘れるのは、だらしないからではありません。建設業の入金管理には、見逃しが起きやすい構造的な理由が3つあります。

ポイントは3つ目です。管理表を作っても、人が見に行かなければ気づけないのは同じです。必要なのは立派な管理表ではなく、「見に行かなくても、遅れたら向こうから目に飛び込んでくる」仕組みです。

入金遅れを自動で見つける3つの条件

仕組みといっても、Excelで足ります。条件は3つだけです。

  1. 請求と同時に「入金予定日」を書く——請求書を出した日に、請求額と入金予定日を1行記録します。予定日が決まっていなければ、契約の支払条件(月末締め翌月末払いなど)から計算して仮の日付を入れます。ここが空欄だと、以降の仕組みが全部動きません
  2. 入金があったら「入金日」を埋める——記帳・通帳確認のタイミングで、該当行に入金日を書きます。作業はこれだけです
  3. 「予定日を過ぎたのに入金日が空」の行を、自動で赤くする——ここをExcelの条件付き書式に任せます。ファイルを開くたびに今日の日付と自動で突き合わされるので、遅れた行だけが勝手に赤くなります

この形にすると、入金遅れの発見は「月末の記帳日」から「次にファイルを開いた日」に変わります。台帳を週に2〜3回開く会社なら、発見までの時間は最大1か月から数日に縮まります。

Excelでの作り方——実際の数式をそのまま公開します

ここからが本題です。当社が配布している工事台帳に実際に設定している数式を、そのまま載せます。列の並びは例として、D列=請求額(受注額)、I列=入金予定日、J列=入金日とします。

① 入金遅れの行を自動で赤くする(条件付き書式)

台帳の入金予定日の列(例:I列7行目以降)を選択し、条件付き書式→「数式を使用して書式設定するセルを決定」で、次の式を入れます。

=AND($I7<>"", $I7<TODAY(), $J7="")

式の意味を1つずつ分解します。

3つをANDでつなぐと、「予定日が来たのに、まだ入金がない行」だけが正確に拾えます。書式は背景色を薄い赤(例:#FDE2E2)、文字を濃い赤の太字にすると、開いた瞬間に目に入ります。

② 未入金の合計額を1つのセルに出す

「いま、回収できていないお金は合計いくらか」を台帳の上部に常時表示しておくと、資金繰りの感覚がまるで変わります。式はこうです。

=SUMIFS(D7:D46, I7:I46, "<>", J7:J46, "")

意味は「入金予定日が書いてあり(=請求済み)、かつ入金日が空(=未入金)の行の、請求額を合計する」。SUMIFSは条件を複数付けられる合計関数で、これも標準機能だけで動きます。マクロは不要です。

③ 運用ルールは2行で足りる

逆に、これ以上のルールは作らないでください。「毎週金曜に全件チェック」のような人の記憶に頼るルールは、忙しい月に必ず飛びます。人がやるのは記録だけ、見張りはExcelの仕事——この分担が長続きのコツです。

この仕組みを設定済みの無料テンプレートがあります(登録不要)

上の①②をすべて設定済みの工事台帳Excelを、無料で配布しています。工事1件=1行で、粗利・粗利率の自動計算、未入金合計の自動集計、入金遅れの自動赤表示まで入っています。サンプルに「わざと入金が遅れている行」を1件入れてあるので、開いた瞬間に赤表示の動きを確認できます。

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マクロ不使用のxlsx形式。Excel 2016以降・Microsoft 365で動作します。

赤くなった行を見つけたら——気まずくならない確認の仕方

仕組みができると、次は「遅れに気づいた後」です。催促の連絡は気が重いものですが、コツは催促ではなく事実確認の形にすることです。文例を1つ載せます。

いつもお世話になっております。◯◯(自社名)です。
◯月◯日にご請求いたしました「△△工事」の代金(◯◯円・お支払期日◯月◯日)につきまして、本日時点で入金の確認が取れておりません。
行き違いや、こちらの請求書の不備などがございましたら恐れ入りますが、お支払い状況をご確認いただけますでしょうか。
すでにお手続きいただいておりましたら、何卒ご容赦ください。

ポイントは、こちらのミス(請求書が届いていない・記載の不備)の可能性を残した書き方にすることです。実際、入金遅れの一定数は先方の悪意ではなく、請求書の不達や経理の処理漏れです。事実確認の形なら関係を損ねずに済み、本当にただの処理漏れだった場合、先方はすぐ動いてくれます。

もうひとつ、地味に効くのが取引先ごとの「実際の支払いサイト」を記録しておくことです。予定日と入金日を毎回記録していると、「A社はいつも予定日ぴったり」「B社は毎回5日遅れる」という傾向が数字で見えてきます。毎回遅れる先には、次の契約から支払条件の交渉材料になりますし、資金繰りの予測も「予定日ベース」から「実績ベース」に変えられます。予定日と入金日の両方を記録する運用には、遅れの検知だけでなく、この副産物があります。

着手金・中間金がある工事の管理

建設業の入金管理を一般的な売掛管理と分けている最大の要因が、1つの工事に複数回の入金があることです。着手金・中間金・完工金と3回に分かれる場合、管理の単位は「工事」ではなく「請求」になります。

Excelでの持ち方は2通りあります。工事の件数が少ないうちは、台帳の1行に「入金済額」と「未入金額」の列を持たせて、入金のたびに入金済額を書き替える方法で足ります。請求の回数が増えてきたら、請求1件=1行の「入金管理シート」を台帳と別に持ち、工事Noで紐づけて台帳側にSUMIFで合計を返す方法に切り替えます。この分け方の考え方は工事台帳のエクセルテンプレートの記事で詳しく書いています。

よくある質問

Q. 入金管理はエクセルでできますか?
工事件数が月10件程度までなら十分できます。請求のたびに請求額と入金予定日を記録し、入金があったら入金日を埋める。あとは本記事の条件付き書式が自動で見張ります。件数が増えて請求・入金の行が数百件規模になったら、システム化を検討する目安です(Excel管理の限界のサイン)。

Q. 入金予定日が決まっていないときは?
空欄にせず、契約の支払条件から計算した日付を仮でも入れてください。予定日が空だと「予定日超過」を機械的に判定できず、検知の仕組み全体が動きません。仮の日付は、確定したら直せば十分です。

Q. 遅延利息や法的手段についても知りたいのですが。
本記事は「遅れに早く気づく仕組み」までを扱っています。長期の未回収や紛争になりそうなケースは、金額と経緯の記録(本記事の台帳がそのまま証拠資料になります)を持って、弁護士など専門家にご相談ください。

Q. 無料テンプレートはそのまま使えますか?
登録不要でダウンロードでき、そのまま使えます。本記事の数式①②が設定済みで、マクロ不使用のxlsx形式です。

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まとめ

工事代金の入金遅れを見逃す原因は、管理表がないことではなく、人が見に行かないと気づけない仕組みにあります。請求と同時に入金予定日を書く、入金があったら入金日を埋める——人の仕事はこの2つの記録だけにして、「予定日を過ぎたのに入金日が空」の検知は=AND($I7<>"",$I7<TODAY(),$J7="")の条件付き書式に任せる。これだけで、遅れの発見は月末から数日以内に変わります。設定済みの無料テンプレートから始めて、原価・粗利まで見たくなったら製品版へどうぞ。

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