追客リストを前にして、手が止まる瞬間があります。この人にもう一度連絡したい。でも、何を送ればいいのか。
「その後いかがですか」は先週送った。新着物件で刺さりそうなものは今週入っていない。かといって何も送らなければ、他社で決まっていく。
追客が止まる本当の理由は、営業のサボりではありません。「連絡する理由」の在庫切れです。この記事では、その在庫を仕組みで補充する方法を、実際の画面つきで書きます。
リマインダーは「いつ」を解決するが、「何を」を解決しない
追客管理のツールを入れると、次回連絡日を過ぎた顧客が赤くなります。これは大事な機能で、当社のCRMにもあります。追客漏れの多くは悪意ではなく、単に埋もれるからです。
ただ、赤くなった顧客を前にしても、さっきの問題は残ります。連絡すべきなのは分かった。で、何を送る?
リマインダーが解決するのは「いつ送るか」です。「何を送るか」は別の問題で、こちらのほうが実は難しい。ここを解決しないと、赤い行を眺めて気が重くなるだけのツールになります。
連絡の口実は、3種類しかありません
追客のメール・電話の「きっかけ」を分解すると、実は3つしかないことに気づきます。
| 口実 | 例 | 弱点 |
|---|---|---|
| ① 物件 | 「ご希望に合う物件が出ました」 | 最強。ただし在庫依存で、出ない週は使えない |
| ② 時間 | 「その後いかがですか」 | 中身がない。繰り返すほど既読スルーが増える |
| ③ 市場 | 「ご希望エリアの相場が動きました」 | ほぼ使われていない。手作業では拾えないから |
①はポータル連携型のCRMが得意な領域です。②は誰でもできるぶん、効きません。
③が空白地帯です。「お客様が検討している世田谷区の坪単価が、前年比で+3.4%動いています」——これは相手の検討に直接関係する情報で、売り込みではなく情報提供として送れる。①と違って在庫にも依存しません。相場は勝手に動くからです。
なぜ「市場」の口実は使われてこなかったのか
理由は単純で、手作業では拾えないからです。
国土交通省は実際の取引価格を四半期ごとに公表しており、市区町村単位の相場の動きは誰でも無料で確認できます。ただし、それを追客に使うには「顧客50人それぞれの希望エリア」と「1,800超の市区町村の最新の前年比」を突き合わせる必要があります。データが更新されるたびに、です。
やればできますが、誰もやりません。1人の顧客のために国交省のサイトを開くくらいなら、「その後いかがですか」を送ってしまう。こうして③の口実は、理屈のうえでは最強なのに、現場では使われずに終わってきました。
そこで、突き合わせを自動化しました
当社のKhorai CRMは、この突き合わせを毎日自動でやります。実際の画面です(顧客は撮影用の架空データです)。

上の赤い枠が「いつ」の解決(次回フォロー日を過ぎた顧客)。その下の枠が「何を」の解決です。拡大します。

顧客の希望エリアの坪単価(国交省の実取引データ)が前年比±3%以上動くと、該当する顧客が自動で並びます。この画面のままお客様に電話できます。「高槻市をご検討でしたよね。国の取引データで、前年比+13.3%の動きが出ています」——具体的で、根拠があって、売り込みではない連絡です。
市区町村単位のデータで当たらない場合は県平均で代替し、その旨を明示します。数字の出どころを曖昧にしないためです。
煽るためではなく、正直に伝えるための機能です
この機能、使い方を間違えると「今買わないと損しますよ」の道具になります。それはやりたくないので、画面に設計思想をそのまま書いています。
スクリーンショットに写っているとおり、アラートには「値動きの事実としてお伝えください。急かす材料としては使わないでください」と表示されます。下落したときも同じで、売主のお客様に下落を隠して売り時を演出することはしません。相場が下がったら下がったと伝える。先に正直に言う営業のほうが、長い目で信頼されると考えているからです。
そのまま使える文例——上昇のとき、下落のとき
アラートが出たときに送る文面の例です。ポイントは、事実→出典→相手の判断に委ねる、の順で書くことです。
買主のお客様・希望エリアが上昇したとき
◯◯様 ご検討中の高槻市について、国土交通省の取引データで坪単価が前年比+13.3%と出ていましたので、ご参考までお知らせします。実際の取引価格に基づく集計値で、個別の物件がこのとおり動くわけではありませんが、エリアの傾向として頭に入れておいていただくとよいかと思います。ご希望条件の見直しなどあれば、いつでもご相談ください。
売主のお客様・所有エリアが下落したとき
◯◯様 率直にお伝えしたいことがありご連絡しました。ご所有の◯◯市のエリアは、国の取引データで前年比−4.2%と、調整の動きが出ています。だからすぐ売るべきという話ではありません。ただ、この事実を踏まえて価格設定と売却時期をもう一度ご一緒に考えたく、一度お時間をいただけないでしょうか。
どちらも「煽り」の要素がありません。事実と出典があるので、送る側も気が重くならない。追客の心理的ハードルが下がること自体が、この仕組みの隠れた効能です。「その後いかがですか」を送るときの、あの気まずさがなくなります。
汎用CRMには作れず、相場サイトにも作れない理由
「便利そうだけど、うちのCRMにもあるのでは」と思われるかもしれません。おそらく、ありません。構造的な理由があります。
- 汎用CRM(Salesforce・kintone等)は顧客データを持っていますが、不動産市場のデータを持っていません。突き合わせる相手がいない
- 相場サイト・地価マップは市場データを持っていますが、あなたの顧客を知りません。誰に知らせるべきかが分からない
「顧客の希望エリア × 最新の相場」という掛け算は、両方を1つのシステムが持っているときにだけ成立します。当社は不動産データのSaaS(地価ナビ)を運営していて、そのデータベースの上にCRMを載せているので、この掛け算が自然にできます。逆に言うと、ここが他のCRMとの一番の違いです。
連携は他にもあります。地価ナビの駅検索で「◯◯駅は徒歩10分圏に小学校3校・保育園18か所」といった営業材料を出したら、その画面の「次の行動」がそのまま「CRMでこの周辺が希望エリアの顧客を絞り込み、追客を1通送る」につながります。下調べから追客まで、データが一本の線になる構成です。
CRM単体としても、必要なものは揃えています
連携が売りですが、単体でも普通に使えるCRMであることは前提です。
- 顧客管理と活動履歴:問い合わせ・内見・提案の記録。優先度は反応と状況から自動で「ホット」表示
- 追客漏れの赤表示:次回フォロー日を過ぎた顧客が必ず目に入る位置に出ます
- Excelからの移行:CSVの取り込み・書き出しに対応。いまの顧客リストをそのまま持ち込めます
- 提案文の自動生成:顧客の希望エリア×予算に、公的データの根拠をつけた提案文を作ります(提案書PDFはライトプラン以上)
料金は、無料プランで顧客5件まで・相場アラートも地価ナビ連携も無料の範囲です。ライト(月980円)で50件、プロ(月4,980円)で無制限+CSV書き出し。心臓部の連携を無料で開けているのは、触ってもらわないと価値が伝わらない機能だからです。
よくある質問
Q. いまExcelで管理しています。移行は大変ですか?
A. CSV取り込みに対応しているので、列名を合わせたCSVを用意すれば数分です。ExcelでのCRM管理の限界と移行の順番は別記事に詳しく書いています。
Q. 大手の不動産CRMと比べてどうですか?
A. 正直に書くと、ポータル反響の自動取り込みやメールの自動配信が必要なら、そちらが向いています。当社のCRMの強みは「連絡する口実を市場データが作ってくれる」ことに絞られています。反響の量で戦う会社より、一人ひとりを長く追う会社に向いた設計です。
Q. なぜ±3%がしきい値なのですか?
A. それ未満の変動は、取引の構成(都市部と郊外の比率など)で普通に揺れる範囲だからです。ノイズで連絡すると「またか」になり、口実の価値が下がります。±3%を超えた動きだけを、確度の高い話題として届けます。
Q. 相場が下がったときも顧客に伝えるのですか?
A. 伝える前提で設計しています。下落を隠して売り時を演出するより、先に正直に伝えるほうが信頼が残ると考えているためです。アラートの文言も「急かす材料にしない」ことを明記しています。
まとめ
- 追客が止まるのは「連絡する理由」の在庫切れ。リマインダーは「いつ」しか解決しない
- 連絡の口実は物件・時間・市場の3種類。市場だけが、手作業で拾えないためにほぼ未使用
- Khorai CRMは顧客の希望エリア×国交省実取引データを毎日突き合わせ、±3%動いたら該当顧客を自動表示
- この掛け算は顧客と市場データの両方を持つシステムにしかできない——地価ナビの上にCRMが載っているKhoraiの構造的な強み
- 煽らない設計(値動きは事実として伝える・下落も正直に)。無料プランで顧客5件・連携込みで試せます
※画面は2026年8月29日時点のもので、表示されている顧客は撮影用の架空データです。相場データの出典は国土交通省「不動産取引価格情報」。前年比は取引構成の影響を受ける参考値であり、個別の物件価格を保証するものではありません。