産業廃棄物を排出してマニフェストを交付した事業者は、毎年6月30日までに「交付等状況報告書」を管轄の都道府県・政令市へ提出する義務があります。毎年この時期になると、前年度のマニフェスト台帳を見ながら、廃棄物の種類ごと・処分業者ごとに交付枚数と排出量を手で積み上げている——そんな現場は少なくありません。この記事では、その集計作業をGoogleスプレッドシート+GAS(Google Apps Script)で自動化する方法を、触れるデモとあわせて紹介します。
交付等状況報告書とは(毎年6/30提出の法定義務)
交付等状況報告書は、廃棄物処理法にもとづき、前年度(4月1日〜翌3月31日)にマニフェストを交付した実績を報告するものです。報告には、廃棄物の種類ごとの交付枚数・排出量(トン)、運搬・処分を委託した業者と許可番号などの集計が必要で、報告を怠ると罰則の対象にもなります。建設・製造・運送・飲食・医療など、産業廃棄物を出す事業者に広く関わる、避けて通れない事務です。
年1回の集計の前に、日々のB2・D・E票の返送期限を落とさないことが先です。交付日を入れるだけで期限と5年保管を自動計算し、超過を色で知らせるExcelを用意しています。ここが整うと、6月の集計もそのまま出せます(¥3,000買い切り)。
テンプレートを見る → カード決済・購入後すぐダウンロード2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります。 労働者を1人でも雇っていれば対象で、中小企業の猶予期間はありません(改正労働施策総合推進法)。 方針の策定・周知、相談窓口の設置、対応記録の整備などが求められます。
何をすればいいか、5つの措置に整理しました →報告書に何を書くのか——項目は思ったより多い
「種類ごとに枚数と量を書くだけ」と思われがちですが、実際はもう少し細かい記載が求められます。
環境省の通知にもとづく様式(様式第三号)では、次の項目が必要です。
- 産業廃棄物の種類
- 管理票の交付枚数
- 排出量
- 運搬受託者の氏名又は名称
- 運搬受託者の許可番号
- 運搬先の住所
- 処分受託者の氏名又は名称
- 処分受託者の許可番号
- 処分場所の住所
- 事業者の業種
このうち「事業者の業種」と「排出量」は、あとから追加された項目です。古い様式のイメージのまま準備すると、この2つが抜けます。
行の単位が「種類」ではありません
ここが手集計でいちばん効いてきます。
報告書の1行は「種類 × 運搬受託者 × 処分受託者」の組み合わせです。
同じ「がれき類」でも、運搬がA社で処分がB社の分と、運搬がC社で処分がD社の分は、別の行になります。種類が7つ、委託先の組み合わせが5通りあれば、行はその掛け算に近い数になります。
台帳を種類別に合計しただけでは足りない、というのはこの意味です。
許可番号と住所は、毎年同じものを転記しています
そしてもう1つ。許可番号と所在地は、業者が変わらない限り毎年同じです。
にもかかわらず、多くの現場では毎年、契約書や許可証の写しを引っ張り出して転記しています。業者の一覧を1枚作って持っておけば、この作業は二度と発生しません。
記入例:1行がどうなるかを、実際に埋めてみる
言葉で説明するより、埋めた形を見たほうが早いと思います。ある建設会社が1年間に交付したマニフェストを、報告書の行に落とすとこうなります(数字は架空です)。
| 行 | 産業廃棄物の種類 | 運搬受託者 | 処分受託者 | 交付枚数 | 排出量(t) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | がれき類 | △△運輸株式会社 許可 01300012345 | □□リサイクル株式会社 許可 01302054321 | 48 | 62.4 |
| 2 | がれき類 | △△運輸株式会社 許可 01300012345 | ◇◇環境サービス株式会社 許可 01302098765 | 12 | 15.8 |
| 3 | 廃プラスチック類 | △△運輸株式会社 許可 01300012345 | □□リサイクル株式会社 許可 01302054321 | 31 | 4.2 |
| 4 | 混合廃棄物 | ○○産業株式会社 許可 01300067890 | ○○産業株式会社 許可 01302067890 | 27 | 33.1 |
注目していただきたいのは、1行目と2行目がどちらも「がれき類」であることです。同じ種類なのに行が分かれているのは、処分を委託した業者が違うからです。逆に3行目は種類が違うので、運搬・処分の業者が1行目と同じでも別の行になります。
つまりこの表は「がれき類を何トン出したか」を書く表ではありません。「どの種類を、どの業者に運ばせて、どの業者に処分させたか」の組み合わせごとに、枚数と量を書く表です。ここを取り違えると、種類ごとに1行にまとめてしまい、許可番号の欄が埋まらなくなります。
この4行を作るために、手元の台帳では「種類」「運搬受託者」「処分受託者」の3つを同時に見て仕分ける必要があります。台帳が数百行あると、この仕分けが一番時間を取ります。
紙と電子を併用している場合は、紙の分だけ報告します
ここは間違えている事業者が多いところです。
電子マニフェスト(JWNET)で登録した分は、廃棄物処理法第12条の5第9項に基づき、日本産業廃棄物処理振興センターが都道府県知事等へ報告します。排出事業者が自分で報告する必要はありません。
問題は、紙と電子の両方を使っている場合です。この場合は紙マニフェストを交付した分についてのみ、事業者が報告します。電子の分まで足して報告すると、二重に計上されることになります。
実務でよくあるのは、次の2つです。
- 「うちは全部電子だから報告不要」と思っていたが、一部の業者とは紙が残っていた … 少量の廃棄物や、電子に対応していない収集運搬業者との取引で起こります。1枚でも紙を交付していれば、その分の報告義務があります
- 集計時に電子の分まで合算してしまう … 台帳を1つにまとめて管理している場合に起こります。台帳の段階で「紙/電子」の列を持っておくと、集計のときに分けられます
提出先は、事業場のある自治体です
提出先は、マニフェストを交付した事業場が所在する都道府県知事です。ただしその事業場が政令市(保健所設置市)の区域内にあるときは、その市長あてになります。本社の所在地ではありません。
そのため、事業場が複数の自治体にまたがる会社は、自治体ごとに分けて提出します。1枚にまとめて本社の自治体へ出す、という形にはなりません。集計を事業場単位で持っておく必要があるのは、このためです。
様式は自治体のサイトで配布されており、多くの自治体が郵送・窓口に加えて電子申請を受け付けています。様式や記入の細部は自治体ごとに違いがあるので、提出先の自治体のマニュアルを一度は開いてください。
出し忘れに気づいたら
特別管理産業廃棄物の代表例が低濃度PCB廃棄物です。処分期限は令和9年3月31日で、6月30日の届出も別にあります。該当する機器の見分け方をまとめました。
年1回のこの報告より先に落としやすいのが、日々の返送期限です。B2票・D票は交付から90日(特別管理産業廃棄物は60日)、E票は180日。返送期限の早見表と、いま危ない伝票の見つけ方にまとめています。
6月30日を過ぎてから気づくこともあります。その場合でも、作成して提出することが先です。自治体は提出状況を把握しているため、放置していると督促や指導の対象になります。報告義務は廃棄物処理法第12条の3第7項に定められた法定義務です。
なお、報告するのは前年度(4月1日〜3月31日)に交付した分で、提出期間はその翌年度の4月1日〜6月30日です。年度と提出年がずれるので、集計の対象期間を間違えないようにしてください。
なぜ手集計に時間がかかるのか
- 台帳の手集計:紙台帳やExcelを見ながら、種類別・業者別に交付枚数と排出量を積み上げている
- 事業場をまたぐ集計:複数事業場・複数業者にまたがると、突き合わせが煩雑になる
- 様式への転記:集計結果を報告書の様式へ手で転記し、ミスが起きやすい
これらは決まった手順の繰り返しで、判断が要りません。だからこそ自動化の効果が大きい領域です。
自動化する範囲:台帳CSVから報告書PDFまで
- 台帳の取込:マニフェスト台帳(CSV/スプレッドシート/Excel)を取り込む
- 種類別の自動集計:廃棄物の種類別に、交付枚数と排出量(t)を自動で集計
- 業者別・事業場別の内訳:処分業者ごと・事業場ごとの内訳を自動集計
- 報告書PDF出力:交付等状況報告書の様式に合わせて出力
台帳がExcelなら、同じシートから出せます
ここまでの内容は、Excelでも組めます。件数が月に数十枚までなら、そのほうが早いと思います。
やることは3つです。
- 委託先の一覧を1枚作る——業者名・区分(収集運搬/処分)・許可番号・所在地。最初の1回だけ入力します
- 台帳の運搬・処分の欄は、その一覧から選ぶだけにする——手で打つと「(株)」と「株式会社」で別業者になり、集計が割れます
- 報告書側は、組み合わせごとに COUNTIFS と SUMIFS で数える——許可番号と住所は VLOOKUP で一覧から引きます
これで、6月にやることは「対象年度を入れて印刷する」だけになります。
委託先マスタ、種類×運搬×処分の組み合わせ集計、許可番号と所在地の自動引き当てまで入っています。日々の返送期限(B2・D票90日/特管60日/E票180日)の色分けアラートも同じファイルの中なので、期限管理と年1回の報告が同じ台帳から出ます。マスタに未登録の業者は赤く出るので、転記漏れに気づけます(全7シート・¥3,000買い切り・マクロ不使用)。
マニフェスト管理Excelを見る → カード決済・購入後すぐダウンロード逆に、Excelでは苦しくなるのはこういう場合です。複数の事業場をまたぐ、台帳がCSVで別システムから出てくる、報告書のPDFまで自動で作りたい——このあたりからは、下に書くスプレッドシート+GASの出番になります。
電子マニフェスト(JWNET)との関係
電子マニフェストで報告が済む分は、この自動化の対象外です。効くのは、紙マニフェストが残る事業者の集計や、電子・紙が混在する中で複数事業場・複数業者の内訳を一括で集計・帳票化したい場面です。自社の排出量管理を、種類別・業者別に見える化する社内資料としても使えます。
実際に「動くデモ」で確かめる
ブラウザ内で実際に動くデモを用意しました。マニフェスト台帳を入れると、廃棄物の種類別に交付枚数・排出量を集計し、処分業者別の内訳、報告書PDFのイメージまで生成される様子を、その場で触って確かめられます。台帳を編集すると集計がリアルタイムに変わります。
▶ 産廃マニフェスト 交付等状況報告書 自動集計デモを触ってみる
データはすべて架空のサンプルです。実際の導入時は、御社の台帳の列名や提出先自治体の様式、数量の単位(t / m³)に合わせて作り込みます。
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります。 労働者を1人でも雇っていれば対象で、中小企業の猶予期間はありません(改正労働施策総合推進法)。 方針の策定・周知、相談窓口の設置、対応記録の整備などが求められます。
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