不動産仲介の反響管理は、最初はエクセルで十分です。ただし「とりあえず表を作る」と、列がバラバラで集計できない・追客漏れに気づけない表になりがちです。この記事では、反響管理表に最低限必要な列の設計、次回アクション日を過ぎた行を自動で赤くする条件付き書式、媒体別の費用対効果を見るCOUNTIFS集計まで、実務でそのまま使える形で解説します。
「反響が来ない」と「反響を落としている」は、別の問題
反響管理の話をする前に、ひとつ整理しておきたいことがあります。「不動産 反響 来ない」という悩みで調べる方は多いのですが、現場を見せてもらうと、反響の数の問題と、来た反響の取りこぼしの問題が混ざっていることがよくあります。
たとえば月に20件の反響があって、そのうち3件が「返信したか記憶が曖昧」「追客が途中で止まっている」状態だとします。これは反響の15%を捨てているのと同じで、ポータルサイトの掲載費で言えば毎月その分をドブに流している計算になります。反響を増やす施策(掲載枠の追加・写真の改善)はお金がかかりますが、取りこぼしを塞ぐのはエクセル1枚で今日からできて、費用はゼロです。順番としては、まず管理表で歩留まりを見える化し、それから数を増やす投資を判断する——これが費用対効果の高い順番です。
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります。 労働者を1人でも雇っていれば対象で、中小企業の猶予期間はありません(改正労働施策総合推進法)。 方針の策定・周知、相談窓口の設置、対応記録の整備などが求められます。
何をすればいいか、5つの措置に整理しました →お客様は「返信が来ない」で会社を選別している
もうひとつ知っておきたいのが、お客様側の行動です。検索データを見ると「不動産 問い合わせ 返信こない」「不動産屋 メール 返信来ない」という検索が相当な数あります。つまり問い合わせをして返信を待ちながら、しびれを切らして検索している見込み客が実在するということです。そしてポータルから問い合わせるお客様の多くは、複数の会社に同時に問い合わせています。返信が半日遅れれば、その間に他社が内見の約束まで進めている——反響対応は、実は初動スピードの競争です。
目安として、反響への一次返信は当日中、できれば1時間以内。夜間の反響には自動返信(受付メール)で「受け取ったこと」だけでも先に伝え、翌朝の一番で個別返信する。この初動を支えるのが管理表で、「未返信」ステータスの行が一番上に赤く出る作りにしておけば、朝イチに開くだけで今日返すべき相手が分かります。
あわせて、一次返信の定型文(物件確認のお礼+内見可能日時の候補+担当名)をあらかじめ用意しておくと、初動の所要時間は1件2〜3分まで縮みます。速さは文章を毎回考えないことで作れます。この定型文の管理と、次の章から見ていく管理表の設計はセットで効いてきます。
下に挙げる9列と、追客漏れの色分け、媒体別の反響→来店→成約集計まで組み終わったExcelを用意しています。反響を1行ずつ入れるだけで、期限超過の行が赤くなります。全6シート・サンプル入り・使い方ガイドつき(¥3,000買い切り)。
反響管理テンプレートを見る → カード決済・購入後すぐダウンロード反響管理表に最低限必要な9列
反響を1件1行で記録します。列は増やしすぎると入力が続かないので、まずはこの9列に絞るのがおすすめです。
- 反響日:問い合わせが入った日付(集計の基準になるので必須)
- 媒体:SUUMO・LIFULL HOME'S・アットホーム・自社HP・看板・紹介など。表記ゆれ防止のためプルダウンにする
- 種別:賃貸/売買、問い合わせ/資料請求など、自社の商売に合わせた区分
- 物件:反響がついた物件名または物件番号
- 顧客:顧客名(後述の通りイニシャルか管理番号を推奨)
- 温度感:高・中・低の3段階で十分。追客の優先順位づけに使う
- 状況:未対応→連絡済→来店済→申込→成約→追客終了、のようにステータスをプルダウン化
- 次回アクション日:「次にいつ連絡するか」。追客漏れ防止の要になる列
- 担当:担当者名。誰の追客かを明確にする
ポイントは「媒体」「状況」をプルダウン(データの入力規則)にすることです。手入力だと「スーモ」「SUUMO」「suumo」が混在し、後の集計が壊れます。
また、2回目・3回目の電話やメールの記録は、この台帳に列を足すのではなく、別シートに「日付・顧客・内容」の追客履歴として残す方が長持ちします。台帳は常に「その反響の最新状態」だけを持たせ、経緯は履歴シートに積む——この分担にすると、行が横に伸び続けて誰も読めない表になるのを防げます。
追客漏れを防ぐ:期限超過の行を赤くする条件付き書式
反響管理表の価値は、記録することよりも「連絡すべき客が埋もれない」ことにあります。次回アクション日(H列)が今日より前で、まだ成約も追客終了もしていない行を自動で赤くしましょう。
データが2行目から始まる表で、A2:I2以降の範囲を選択し、条件付き書式→「数式を使用して、書式設定するセルを決定」に次の数式を入れます。
=AND($H2<>"", $H2<TODAY(), $G2<>"成約", $G2<>"追客終了")
書式で背景を赤系に設定すれば、「次回アクション日を過ぎたのに動いていない反響」が開いた瞬間に目に飛び込みます。列番号は絶対参照($H2のように列だけ固定)にするのがコツで、これで行全体に色がつきます。毎朝ファイルを開いて赤い行から潰す——この運用だけで、追客漏れはかなり減ります。
媒体別の費用対効果を見る:COUNTIFSでファネル集計
反響は「数」だけでなく「その後どうなったか」まで見ると、媒体ごとの費用対効果が分かります。別シートに媒体を縦に並べ、反響数→来店数→成約数の3段階をCOUNTIFSで数えます。
- 反響数:
=COUNTIFS(台帳!B:B,A2)(A2に媒体名) - 来店数:
=COUNTIFS(台帳!B:B,A2,台帳!G:G,"来店済")+COUNTIFS(台帳!B:B,A2,台帳!G:G,"申込")+COUNTIFS(台帳!B:B,A2,台帳!G:G,"成約") - 成約数:
=COUNTIFS(台帳!B:B,A2,台帳!G:G,"成約")
来店率(来店÷反響)と成約率(成約÷反響)を割り算で出せば、「反響は多いが来店につながらない媒体」「件数は少ないが成約率の高い媒体」が数字で見えます。掲載費の配分を見直す判断材料として、月に一度この表を見るだけでも価値があります。
反響に返信したあと、次は商談です。「もう少し待てば上がるのでは?」「他社はもっと高い査定を出した」——現場で必ず出てくる18場面の答え方を、公的データを根拠にまとめた全8ページのPDFを無料でお配りしています。全国1,863市区町村の相場データつき。
無料でダウンロード → メールアドレスのみ・登録不要媒体が増えるほど、表は「1つ」に集約する
SUUMO・アットホーム・自社ホームページ・一括査定サイト——反響の入口は年々増えています。ここでやりがちなのが、媒体ごとに別の表やメールフォルダで管理することです。媒体が3つを超えたあたりから、全体の反響数も、どの媒体が成約につながっているかも、誰にも分からなくなります。
原則はひとつで、入口が何個あっても、着地する表は1つ。そのために媒体列(発生源)を必ず持たせます。媒体列があると、月次で次の計算ができるようになります。
- 反響単価 = その媒体の掲載費 ÷ 反響数(例:掲載費5万円で反響10件なら、1反響5,000円)
- 来店単価 = 掲載費 ÷ 来店数。反響は多いのに来店に進まない媒体は、問い合わせの質かこちらの初動に課題があります
- 成約貢献 = 成約した客の初回媒体。ここまで辿れると「どの媒体をやめて、どこに寄せるか」を数字で決められます
この3つの数字は、月に一度、月初に前月分を出すだけで十分です。毎月同じ形で並べていくと、季節要因と媒体の実力が切り分けられるようになり、掲載費の配分換えを感覚ではなく数字で判断できるようになります。
なお一括査定サイト経由の反響は、複数社への同時依頼が前提の仕組みなので、他の媒体以上に初動スピードが結果を分けます。媒体列に「一括査定」を設け、この行だけ対応期限を短く設定しておくのも実務的な工夫です。
個人情報の取り扱い:管理表はイニシャルで
反響管理表は共有・持ち運びされやすいファイルです。氏名・電話番号・メールアドレスをそのまま並べると、紛失や誤送信のときのダメージが大きくなります。管理表には「Y.T様」のようなイニシャルか顧客番号だけを記録し、フルネームと連絡先は別の顧客台帳(アクセスできる人を絞ったファイルや基幹システム)に分けるのが現実的です。ファイル自体にもパスワードを設定しておきましょう。
手作りの反響管理表でよくある失敗
- 列を増やしすぎる:20列を超えると入力が続かず、3週間で更新が止まる
- プルダウンにしない:媒体名・ステータスの表記ゆれで集計が合わなくなる
- 次回アクション日の列がない:記録簿にはなるが、追客漏れは防げない
- 1人1ファイルになる:担当者ごとに別ファイルが育ち、全体像が誰にも見えない
- 集計シートを後回しにする:媒体別の数字が出ないと、掲載費の判断ができない
作る時間がない方へ:テンプレートを用意しました
この記事の内容(9列の台帳・期限超過アラート・媒体別ファネル集計)をそのまま形にした反響管理Excelテンプレートを販売しています。ダッシュボード/使い方/反響台帳/追客履歴/媒体別集計/物件マスタの全6シート構成で、媒体プルダウンは7種(SUUMO/LIFULL HOME'S/アットホーム/自社HP/看板/紹介/その他)を設定済み。架空のサンプル反響15件が入っているので、消しながら使い方を覚えられます。マクロ不使用なので警告も出ません。¥3,000の買い切りです。
件数が増えてきたら:エクセルからCRMへ
エクセル運用の限界は、件数よりも「同時に触る人数」で先に来ます。複数人での同時入力、ポータルからの反響メール自動取り込み、物件在庫との紐づけが必要になったら、業務システム化のタイミングです。移行の考え方は不動産の反響・追客管理をシステム化する方法で解説しており、物件×反響×内見×見込みを一画面で管理する不動産管理システムのデモもブラウザでそのまま触れます。
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります。 労働者を1人でも雇っていれば対象で、中小企業の猶予期間はありません(改正労働施策総合推進法)。 方針の策定・周知、相談窓口の設置、対応記録の整備などが求められます。
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